アルゼンチン進出時の選択肢
――代理店・販売店を通じた商品展開――
西村あさひ法律事務所
弁護士 古 梶 順 也
1 はじめに
2016年4月にデフォルト状態を解消して15年振りに国際金融市場に復帰し、マクリ政権による規制緩和・外資導入策の下で投資環境が整いつつあるアルゼンチンへの新規展開を検討している日本企業も少なくないと思われる。
日本企業が、アルゼンチンに進出する際に採りうる方法[1]として、現地企業を代理店(Agent)や販売店(Distributor)として選定し、当該代理店・販売店を通じて自社の商品を展開することが考えられる。アルゼンチンにおいては、労働者保護の性格が強い労働法規制を背景とした高い労働コストが多くの企業を悩ませているが、当該方法であればこのような労働関係にまつわる問題を回避できるというメリットもある。
アルゼンチンにおいて、代理店との代理店契約(Agency Agreements)及び販売店との販売店契約(Distribution Agreements)に関しては、2015年8月1日に発効した新しい民商法典において法的規制が定められ、当該規制の下で代理店・販売店が一定の範囲で保護されている。そこで、本稿においては、アルゼンチンの現地企業と代理店契約・販売店契約を締結する際に留意すべきアルゼンチン法における代理店・販売店を保護する規定について説明する。
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