消費者庁、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定および「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 臼 杵 善 治
弁護士 久 米 野乃香
1 はじめに
2023年3月28日、消費者庁は不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景品表示法」という。)5条3号に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を新たに指定し、2023年10月1日から施行すること(令和5年内閣府告示第19号(以下、「本指定告示」という。))および本指定告示の運用基準として「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」(以下、「本運用基準」という。)を策定することを公表した。
本指定告示および本運用基準は、2022年12月28日に消費者庁が公表した「ステルスマーケティングに関する検討会報告書」(以下、「最終報告書」という。)の中で検討し、整理された「告示案」および「告示案の運用基準の方向性」をもとに作成された、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」告示案および「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」運用基準案について、2023年1月25日から同年2月23日までに実施された意見募集手続を踏まえて策定されたものである(なお、最終報告書のベースとなった「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」(消費者庁2022年12月28日公表)(以下、「報告書(案)」という。)の内容については、前々回の記事(「SH4252 消費者庁、「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」の公表および意見募集 臼杵善治/久米野乃香(2022年12月22日)」)を、報告書(案)に関する意見募集手続の回答の概要および最終報告書の内容については、前回の記事(「SH4286 消費者庁、「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に関する意見募集の結果の公示 臼杵善治/久米野乃香(2023年1月25日)」)を、それぞれ参照されたい。)。
当該意見募集手続においては、199件もの多数の意見が寄せられ、告示案については原案通り、運用基準案については、大幅に内容が加筆されている。本稿では、従前の検討経緯も踏まえ、特に意見募集の結果加筆された内容を中心に、2023年10月1日から施行される本指定告示の内容および本運用基準の概要について紹介する。
2 本指定告示の内容
本指定告示は、景品表示法5条3号に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」として、以下の表示を「商品または役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるもの」(景品表示法5条3号)に指定する。
事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの
上記の本指定告示の文言は、報告書(案)時点で草案されていた告示案の文言がそのまま維持されたものである。
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(うすき・よしはる)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2003年慶應義塾大学法学部卒業。2006年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(第一東京)。2015年University of London, LL.M. in Competition Law修了。公正取引委員会による審査手続対応、海外当局による調査手続対応、国内外の競争法当局に対する企業結合届出のサポート、競争法コンプライアンスマニュアル作成・競争法コンプライアンストレーニング、流通取引規制に関するアドバイス、景品表示法対応等の多数の案件を取り扱っている。
(くめ・ののか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2018年神戸大学法学部卒業。2020年京都大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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