SH4591 欧州データ保護会議、米国への個人データの域外移転に関する十分性認定に係るInformation Noteを採択 後藤未来/藤田琴(2023/08/18)

取引法務個人情報保護法

欧州データ保護会議、米国への個人データの域外移転に関する十分性認定に係るInformation Noteを採択

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 藤 田   琴

1 はじめに

 欧州連合の「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」(以下「GDPR」)の下では、EEA域内で取得した個人データを域外に越境移転するためには、①「十分性認定」を受けた国等に対する移転、②標準契約条項(以下「SCC」)の締結等、所定の条件を満たす必要がある(GDPR44条以下)。

 特に、EEAから米国への域外移転に関しては、十分性認定された「プライバシーシールド」が欧州連合司法裁判所により無効とされて以降(Schrems II判決)、SCCの締結等が要される状況が続いていた。これに対し、欧州委員会は、2023年7月10日、EUと米国間の新たな個人データ保護に関する枠組みである「データプライバシーフレームワーク(EU-U.S. Data Privacy Framework)」(DPF)について十分性認定を行った。これにより、DPFに参加する米国事業者への個人データの越境移転については、SCCの締結等の追加措置を要することなく可能となった。

 この新たなDPFにかかる十分性認定に関し、EDPB(欧州データ保護会議)は、2023年7月19日、EUのデータ主体等のために当該DPFにかかる十分性認定の意義について明確化することを目的としたInformation Noteを採択した[1]。主な内容は以下のとおりである。

 

  • 十分性認定を受けたDPFに基づく個人データの域外移転には追加のデータ保護措置は不要である一方、DPFに参加しない米国事業者等への域外移転には、従前どおりのデータ保護措置が必要である。
  • 米国政府が導入する国家安全保障にかかわるデータ保護に関する措置は、DPFの下でも、EEAから米国に移転されるすべての個人データに適用される。
  • DPFに基づき米国に個人データを域外移転されたデータ主体は、関連する米国事業者がDPFのルールに従っていないと考える場合、いくつかの救済措置を利用できる。かかるデータ主体は、まず、関連する米国事業者に苦情を申し立てることが推奨される。
  • 米国に個人データを域外移転されたデータ主体は、その移転手段の種類にかかわらず、国家安全保障の分野において、新たな救済制度に基づき、自国の監督機関に異議申立てをすることができる。
  • 新たなDPFにかかる十分性認定については、1年後に初回レビューを行う。

 

 以下では、GDPRの下での米国への個人データの域外移転に関する従前の経緯を振り返りつつ、上記EDPBのInformation Noteの内容を概観する。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


(ごとう・みき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

 

(ふじた・こと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2019年京都大学法学部中退(3年次修了後、法科大学院へ飛び級進学)。2021年京都大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第2東京弁護士会所属)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


*「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

タイトルとURLをコピーしました