SH4744 韓国:改正個人情報保護法(2023年9月15日施行)のポイント(上) 鈴木明美/中村彰男(2023/12/20)

取引法務個人情報保護法

韓国:改正個人情報保護法(2023年9月15日施行)のポイント(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 鈴 木 明 美

弁護士 中 村 彰 男

 

1 はじめに

 2023年9月15日、韓国の個人情報保護法(Personal Information Protection Act)(以下、「PIPA」という。)[1]の改正法が施行された。PIPAは、2011年の制定以来、何度か改正が行われているが、今回の改正は初の実質的全面改正であり、その内容は多岐にわたる。オンライン・オフライン二重規制の一元化、個人情報の収集・利用・提供に関する規律の合理化等、事業者の観点から好ましい内容がある一方、データ主体の権利保護強化、課徴金制度の拡大等、事業者として留意すべき点もある。本稿においては、実務上重要と思われる点を中心に解説を行う。

 改正法(以下、この改正後のPIPAを単に「PIPA」または「法」といい、改正前のPIPAを「改正前PIPA」という。)は、同時に施行された個人情報保護法施行令(大統領令)(以下、「施行令」という。)[2]により規律が具体化されている。また、韓国の個人情報保護委員会(以下、「PIPC」という。)が改正法の解説案(以下、「PIPC解説案」という。)[3]を公表しており、改正事項に関する詳細な説明がなされている。

 PIPAには域外適用に関する明示的な条文はないものの、PIPCは執行に積極的な姿勢を有しており、韓国法人を有しないものの韓国で事業を行っていると評価される海外企業に対してもPIPAを執行した実例がある。そのため、韓国で事業を展開している日本企業においては、今回の改正の内容を確認することを勧める。

この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください

(すずき・あけみ)

1999年慶應義塾大学法学部卒業。2000年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2000年~現在、長島・大野・常松法律事務所勤務。コーポレート、M&A、インフラ・エネルギー・環境、薬事・ヘルスケア、テクノロジー、個人情報保護・プライバシーなどに関する法務アドバイスを行っている。

 

(なかむら・あきお)

2017年東京大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院修了。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2020年~現在、長島・大野・常松法律事務所勤務。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、500名を超える弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました