SH4811 経産省、「中間取りまとめ CCSに係る制度的措置の在り方について」 宇田川法也/大槻由昭(2024/02/15)

組織法務サステナビリティ

経産省、「中間取りまとめ CCSに係る
制度的措置の在り方について」

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 宇田川 法 也
弁護士 大 槻 由 昭

 

 一部報道によれば、今次の通常国会(第213回)に、CCS(二酸化炭素の回収・地中等への貯留)の事業化のための法案(通称「CCS事業法(仮称)」)が提出される公算が大きい[1]。この点について、本年1月29日付の経済産業省の総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 カーボンマネジメント小委員会/産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 産業保安基本制度小委員会 合同会議による「中間取りまとめ CCSに係る制度的措置の在り方について」と題する文書[2](以下「中間取りまとめ」という。)の内容が、来る法案の方向性を推し量る上で参考になると思われるため、本稿では、その記載内容のうち、「CCS事業法(仮称)」に関する部分について、その概要を簡単に紹介する。

 

1 CCSとは?

 CCSは、排出された二酸化炭素(CO₂)を分離回収し、地中または海底下の貯留層に貯留する技術であり、現行の第6次エネルギー基本計画でも、カーボンニュートラル社会の実現のカギとして位置づけられている[3]。CCSは、特にわが国において2050年カーボンニュートラルの達成のために実現することが必須の技術であるとされる。

 

出典:「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」」
(資源エネルギー庁、2017年11月14日)[4]

 

 上記のCCSにかかる技術(CO2の貯留技術)の進展を前提として、CCS事業の実施に法令上の根拠を与えようとするのが、冒頭に述べた「CCS事業法(仮称)」であり、昨年3月の「CCS長期ロードマップ検討会 最終とりまとめ」[5]においても、以下の図のとおりの方針が示されている。

 

出典:「CCS 長期ロードマップ検討会 最終とりまとめ」(2023年3月)12頁

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(うだがわ・のりや)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2016年University of California, Los Angeles School of Law (LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。ストラクチャード・ファイナンス、プロジェクト・ファイナンス、PPP/PFI、ファンド取引等の金融取引を幅広く取り扱っており、資源・エネルギー分野においては、再生可能エネルギー発電事業に関するスキーム構築、契約交渉等に関与し、豊富な経験を有している。

 

(おおつき・よしあき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャルカウンセル。2004年東京大学法学部卒業。同年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2011年 南カリフォルニア大学(USC)・ロースクール(LLM)修了。2012年 ニューヨーク州弁護士登録。主に資源エネルギー分野を中心に取り扱っており、とりわけ、外資系の鉱山会社による日本での鉱業権(試掘権及び採掘権)の取得案件や、それに関連するM&A取引等の案件を多く取り扱っている。また、LNG(液化天然ガス)を海外から調達する取引をはじめ、電力ガス会社が関与するM&A取引等についても有数の実績を有する。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の案件等に多く関与しており、資源の上流開発案件についての知見を多く有している。

 

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