SH4914 タイ:個人データの域外移転に係る下位規則の制定(下) 佐々木将平(2024/05/08)

個人情報保護法

タイ:個人データの域外移転に係る下位規則の制定(下)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 佐々木 将 平

 

(承前)

5 保護措置基準

 受領者の所在国が十分性認定基準を充足していないまたは十分性認定基準を充足しているか明確ではない場合であって、BCR基準も利用できないときには、保護措置基準により、個人データを域外移転することを検討することになる。本下位規則の制定により、保護措置基準を利用した方法として、①契約に基づく場合、②認証制度を利用する場合および③二国間で合意された文書・契約に基づいたデータ保護措置を利用する場合があることが明確に規定された。いずれの保護措置基準も前稿4で述べたBCR基準と概ね同様の基準を満たすことが求められている。この中でも今後特に利用頻度が上がると考えられるのが、①の契約に基づく場合であろう。これは、個人データの送信者と外国にいる受領者の間で本下位規則で要求される個人データの保護に関する条項を規定することで個人データの送信者から個人データの受領者へ域外移転を可能とする制度である。GDPRにおける標準契約条項(SCC)の制度を参考に創設されたと考えられる。

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(ささき・しょうへい)

長島・大野・常松法律事務所バンコクオフィス代表。2005年東京大学法学部卒業。2011年 University of Southern California Gould School of Law 卒業(LL.M.)。2011年9月からの約2年半にわたるサイアムプレミアインターナショナル法律事務所(バンコク)への出向経験を生かし、日本企業のタイ進出及びM&Aのサポートのほか、在タイ日系企業の企業法務全般にわたる支援を行っている。タイの周辺国における投資案件に関する助言も手掛けている。

 

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