SH4972 インド:出向者給与の立替払いに対するGST課税(下) 安西統裕(2024/06/13)

組織法務監査・会計・税務

インド:出向者給与の立替払いに対するGST課税(下)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 安 西 統 裕

 

(承前)

3 最高裁判決後の状況(2023年12月のCBIC通達を含む)

⑴ 税務当局による課税措置

 インドの税務当局は、NOS判決後、多くの多国籍企業に対して、出向者給与に関する質問状を送付するなどして、2017年7月まで遡ってGSTを自主納税するよう促している。事業者が自主納税を行わない場合、税務当局が、正式に情報開示を求める通知書であるSCN(Show Cause Notice)や更正通知書(Assessment Order)を発行するケースも少なくないようである。相当数の日系企業も、これまでに税務当局からの質問状等を受領している。

 税務当局からの接触があった事業者の対応としては、①税務当局の見解に従って自主的に支払いに応じているケース、②税務当局の見解には賛同しないものの、延滞税の増額を防止するために一旦支払いを行っているケース、③自主的な支払いは行わず、税務当局の見解を争っているケースなどがあり、税務訴訟に発展している事案もある [1]

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(あんざい・のぶひろ)

長島・大野・常松法律事務所パートナー。2004年 慶應義塾大学法学部卒業、2016年 New York University School of Law卒業(LL.M.)。2004年~2008年に三井物産株式会社に勤務、2016年~2017年にDavis Polk & Wardwell LLP(New York)に勤務、2017年にDavis Polk & Wardwell LLP(東京)に勤務。現在はNO&T東京オフィスにおいてM&A・企業組織再編、コーポレートガバナンス、ベンチャー投資等、企業法務全般にわたりアドバイスを提供している。

 

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