欧州データ保護監察機関(EDPS)、生成AIに関する
EDPSガイドラインを公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 中 崎 尚
1 はじめに
欧州データ保護監察機関[1](European Data Protection Supervisor(EDPS))は2024年6月3日、EUの機関・団体・事務所・代行機関(institutions, bodies, offices and agencies)(「EUI」という)のための生成人工知能(生成AI)とパーソナルデータに関するガイドライン(Guidelines on generative Artificial Intelligence and personal data for EU institutions, bodies, offices and agencies (EUIs))[2]を発表した(「本ガイドライン」という)。本ガイドラインは、EUIが生成AIを利活用する際に、規則(EU)2018/1725に定められたデータ保護義務を遵守することを支援すべく、実践的な助言と指示を提供することを目的としている。
規則(EU) 2018/1725 は、規則(EC) No 45/2001 を一般データ保護規則(EU) 2016/679(GDPR)と均等なものとするための改正法としての位置づけをもっており、その内容はGDPRの内容と類似するものである。
本ガイドラインはあくまでEUの政府機関が生成AIを開発・利活用する場面を念頭に置いたものではあるが、その内容は、生成AIにたずさわる民間事業者にとっても有用と思われるため、本記事ではその概要を紹介する。
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(なかざき・たかし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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