インド:企業結合規制(上)
――取引価値基準が2024年9月10日に施行――
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 山 本 匡
弁護士 小 川 聖 史
1 はじめに
インド競争法(Competition Act, 2002)に基づき、一定の基準に該当する企業結合は、インド競争委員会(Competition Commission of India、通称「CCI」)への事前届出及びその承認が必要となる。事前届出を要する基準は、従来、企業結合の当事者及びそのグループのインド国内外における資産及び売上高を基準としていたが[1] 、2023年に成立したインド競争法の改正により、取引価値基準(deal value threshold)が導入されることとなっていた。2024年9月9日付の企業省(Ministry of Corporate Affairs)の通達により、この取引価値基準が、翌10日に施行されることが公表された。あわせて、新たな企業結合規則であるCompetition Commission of India (Combinations) Regulations, 2024(以下「新企業結合規則」という。)が2024年9月9日に公表され、翌10日に施行された。これに伴い、従来の規則(Competition Commission of India (Procedure in regard to the transactions of business relating to combinations) Regulations, 2011)は廃止された。
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(やまもと・ただし)
2003年弁護士登録。2009年から2017年にかけて、インド・シンガポールで勤務。2015年からヤンゴンにて随時執務。新興国を中心に海外進出、各種リーガル・サポートに携わっている。
(おがわ・さとし)
長島・大野・常松法律事務所東京オフィスパートナー。2008年一橋大学法科大学院修了、2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2015年University College London修了(LL.M. in Competition Law)、2015年~2017年経済協力開発機構(OECD)金融企業局競争課勤務。2018年~2019年経済産業省・公正取引委員会・総務省「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」委員。主な取扱分野は独占禁止法・競争法であり、特に、国内外競争当局との折衝や、海外競争法対応、デジタル分野に関する独禁法上の問題など先端的な競争法関連案件を中心としてアドバイスを提供している。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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