欧州理事会、破産法の特定の側面を調和させるための指令案の主な要素に関する立場を採択
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 藤 田 将 貴
弁護士 田 村 将 人
1 はじめに
2024年12月13日、欧州理事会は、「破産法の特定の側面を調和させるための欧州議会および欧州理事会の指令案」[1](以下「指令案」という。)の主な要素に関する立場を採択した[2]。これは、破産法に関するEU加盟国間の不一致を解消するために欧州委員会が従前示していた指令案に関する議論を踏まえ、その主な要素について、欧州理事会としての立場を明確にしたものである。
このようなEUにおける破産法の調和に向けた動きは、EU子会社を有する日本企業等にも影響を与える可能性がある。以下では、今般示された欧州理事会の立場および今後の展開等について概説する。
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(ふじた・まさき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年早稲田大学法学部卒業。2006年京都大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年University of California, Berkeley(LL.M.)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。大手総合商社法務部への出向経験を有する。国内外の経済安全保障・通商、M&A、事業再生分野を中心に取り扱う。主な著書・論文:『英文M&Aドラフティングの基礎』(共著)(金融財政事情研究会、2023)、「米国の経済制裁の基礎知識と実務対応のポイント」(Business Lawyers(ウェブサイト)、2022)、「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度を創設する法案の閣議決定」(商事法務ポータル、2024)、「欧州委、経済安全保障を強化するための5つのイニシアチブを公表」(商事法務ポータル、2024)、「米国による懸念国向け半導体関連輸出規制の強化」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省 CFIUS2022年次報告書を公表」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省、マネーロンダリング防止法および制裁法違反によりバイナンスと合計約43.7億ドルの制裁金支払いで和解」(商事法務ポータル、2023)、「グローバル法務 日本企業が留意すべき個人情報保護、ビジネスと人権、経済安全保障に関する各国の法規制や動向」(共著)会社法務A2Z 2024年2月号ほか多数。
(たむら しょうと)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年甲南大学法学部卒業。2018年弁護士登録(東京弁護士会)。2019年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所。2023年9月より金融庁企画市場局総務課課長補佐として、事業性融資の推進等に関する法律(企業価値担保権)の立法作業に従事。2024年9月アンダーソン・毛利・友常法律事務所に復帰。
主な著書・論文等として、「事業性融資の推進等に関する法律の概要(下)――企業価値担保権を中心に」NBL1271(2024.8.1)号、『ケースでわかる実践「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」』(共著)(中央経済社、2022年)、「預金払戻請求に対する預金拘束と金融機関による貸付金との相殺」金融法務事情2184号、「破産者による銀行への弁済に対する否認権行使と支払不能」金融法務事情2171号、「銀行取引約定の相殺条項の解釈と破産手続における効力」金融法務事情2158号等。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用