インド:外国為替管理(非債務証券)規則の改正(下)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 安 西 統 裕
3 インド非居住者間の譲渡取引に関する規制の明確化
NDI規則には、インド非居住者間における、インド企業の株式等の譲渡に関する規定も設けられている[1]。従前のNDI規則では、かかるインド非居住者間の譲渡取引について、政府の承認が必要な事業セクターに属するインド企業の株式等を譲渡する場合は、インド非居住者間の譲渡であっても、インド政府の事前承認が必要であると規定されていた。
今回の改正により、かかるインド非居住者間の譲渡取引について、(政府の承認が必要な事業セクターに属するインド企業の株式等を譲渡する場合に限らず)政府承認が適用される全ての取引について、インド政府の事前承認が必要である、という包括的な規定に修正された[2]。
NDI規則の別の規定[3]やインド政府による通達(Press Note 3)において、インドと国境を接する国[4]からインドへの投資を行う場合、投資の対象となる事業分野を問わず、インド政府の事前承認が必要とされている。そのため、今回の改正前から、インド非居住者間の譲渡取引であっても、譲受人がインドと国境を接する国の投資家である場合は、インド政府の事前承認が必要であると理解されていたが、今回の改正により、このことがより明確化された。
日本は、地理的にはインドと国境を接する国ではないが、上記の通達(Press Note 3)は、実質的所有者(beneficial owner)がインドと国境を接する国の会社や個人である場合にも適用されるため、日本企業も無縁ではないという点に留意が必要である。たとえば、日本企業の直接又は間接の株主として中国に所在する企業や中国国籍の方が存在する場合には、当該日本企業が、他のインド非居住者から、インド企業の株式を譲り受けるにあたり、インド政府の事前承認が必要になる可能性がある。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(あんざい・のぶひろ)
長島・大野・常松法律事務所パートナー。2004年 慶應義塾大学法学部卒業、2016年 New York University School of Law卒業(LL.M.)。2004年~2008年に三井物産株式会社に勤務、2016年~2017年にDavis Polk & Wardwell LLP(New York)に勤務、2017年にDavis Polk & Wardwell LLP(東京)に勤務。現在はNO&T東京オフィスにおいてM&A・企業組織再編、コーポレートガバナンス、ベンチャー投資等、企業法務全般にわたりアドバイスを提供している。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
長島・大野・常松法律事務所は、約500名の弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。
当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ、ジャカルタ及び上海に拠点を構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。