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SH5393 公取委、スマホソフトウェア競争促進法「特定ソフトウェア事業者」の指定を発表――12月18日までの全面施行に向けてモバイルOS・アプリストアなど提供の一定の事業者として3事業者が指定 (2025/04/09)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

公取委、スマホソフトウェア競争促進法
「特定ソフトウェア事業者」の指定を発表
――12月18日までの全面施行に向けてモバイルOS・アプリストアなど提供の
一定の事業者として3事業者が指定――

 

 公正取引委員会は3月31日、いわゆるスマホソフトウェア競争促進法3条1項に基づき「特定ソフトウェア事業者」として3事業者を指定したと発表した。

 指定は3月26日付とされ、次の事業者が指定された。①米アップル社(所在地・アメリカ合衆国カリフォルニア州、当該指定に係る特定ソフトウェアの種類として基本動作ソフトウェア・アプリストア・ブラウザ。以下同様)、②iTunes株式会社(東京都港区、アプリストア)、③米グーグル社(アメリカ合衆国カリフォルニア州、基本動作ソフトウェア・アプリストア・ブラウザ・検索エンジン)。

 スマホソフトウェア競争促進法は2024年4月26日、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」として閣議決定・国会提出された。スマートフォンの普及により国民生活や経済活動の基盤となっている状況下「スマートフォンを利用した事業に係る競争環境を整備する」観点から(ア)当該利用に特に必要なモバイルOS・アプリストア・ブラウザおよび検索エンジン(以下「特定ソフトウェア」という)の提供等を行う事業者(以下「特定ソフトウェア事業者」という)を対象として指定し、当該「指定事業者」につき(イ)事前規制として競争を制限する恐れのある行為を禁止するとともに(禁止事項)、一定の措置を講じることを義務付ける(遵守事項)こととし、(ウ)これらの規制の実効性確保措置として指定事業者による遵守状況の報告、公取委の調査権限や違反を是正するための命令とともに課徴金納付命令などの規定を整備することとした(本法案の背景・規制概要を解説するものとして、SH4950 「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」について 井上乾介/並木重伸(2024/05/27)参照)。

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 国会では同年5月23日に衆議院本会議で可決、参議院に同日送付されたのち、参議院本会議で6月12日、原案どおり可決・成立。「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(令和6年法律第58号。以下「スマホソフトウェア競争促進法」という)として6月19日、制定・公布された。なお、衆議院経済産業委員会における5月22日の採決に際しては9項目の附帯決議が、参議院経済産業委員会においては6月11日、11項目の附帯決議が付されている。

 スマホソフトウェア競争促進法は原則として「公布日(2024年6月19日)から1年6月内の政令指定日(2025年12月18日まで)」に施行するものとされているところ(同法附則1条本文)、同法「第2章 特定ソフトウェア事業者の指定等」など一部の規定については「公布日から6月を経過した日(2024年12月19日)」に施行するとされたことから(同法附則1条2号)、公取委においては2024年10月28日、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第3条第1項の事業の規模を定める政令(案)」などを公表して11月26日までの意見募集を実施した。成案は12月13日、(1)「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三条第一項の事業の規模を定める政令」(令和6年政令第376号)、(2)「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律施行規則」(令和6年公正取引委員会規則第5号)として公布され、いずれも12月19日に施行されていたものである。

 (1)の政令では上記「特定ソフトウェア」となるモバイルOS・アプリストア・ブラウザおよび検索エンジンについて、それぞれ「基本動作ソフトウェア」「アプリストア」「ブラウザ」「検索エンジン」として特定ソフトウェアの種類に応じ、「規模」を定める。もってスマホソフトウェア競争促進法による規制の対象とし、特定ソフトウェア事業者のうち「当該特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が他の事業者の事業活動を排除し、又は支配し得るものとして特定ソフトウェアの種類ごとに利用者の数その他の当該事業の規模を示す指標により政令で定める規模以上であるもの」として、上掲の3事業者が今般、指定されたこととなる。

 本年12月18日までとされるスマホソフトウェア競争促進法の全面施行に向けてはなお「ガイドラインの策定」などが必要とされるところ、公取委では2024年9月30日に初会合を開催した「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する検討会」(座長・依田高典京都大学大学院経済学研究科教授)における検討を進めている。本年4月3日の第10回会合では「政令案」「公正取引委員会規則案」「ガイドライン案」の審議に至っており(いずれも2025年4月8日現在、会合資料として「非公表」とする取扱い)、帰趨が注目される。

 


公取委、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律における特定ソフトウェア事業者の指定について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/mar/250331_smartphone.html

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