タイ:個人情報保護法のガイドラインの制定(3)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 中 翔 平
3 通知ガイドラインの概要
⑴ 利用目的等の通知指針
通知ガイドラインは、利用目的等の通知に関し、①個人データの処理の公正性、②利用目的の限定、③同意の取得及び④正当な利益を理由とする個人データの利用という観点から一般的な指針を明らかにしている。これらのうち、上記①に関連して、利用目的の通知によって個人データの処理から予測される結果が明らかにされる必要がある旨述べられている。GDPRにおいては、自動化された意思決定が介在する場合には、かかる意思決定に基づいた処理から想定される結果をデータ主体に通知することが求められているが、通知ガイドライン上は特にそのような限定はない。少なくとも、個人情報保護法第23条の要件を満たすような具体的な利用目的等が定められていれば、個人データの処理から予測される結果は理解できるため、上記指針が直ちに作成済みのプライバシーノーティスに影響を与えるものではないと考えるが、実務の集積を待つ必要がある。
⑵ 利用目的等の通知の詳細
データ主体から個人データの収集等を行う際には、個人情報保護法第23条に定める利用目的等を通知する必要があるが、通知ガイドラインではその内容が次のとおり具体化されている。
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(なか・しょうへい)
2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、 金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月 にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所 バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサ ポートを中心に幅広く法律業務に従事している。
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