倒産手続のIT化に関する法改正の議論状況の概観(後編)
――「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」の公表を受けて――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 荻 野 聡 之
弁護士 樋 口 政 隆
6 期日におけるウェブ会議および電話会議の利用
⑴ 口頭弁論の期日[1]
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出典:法務省「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」(https://www.moj.go.jp/content/001379082.pdf)
破産手続等においても、民訴法87条の2第1項および3項と同様のルールにより、口頭弁論の期日につきウェブ会議を利用することができるものとすることが提案されている。
⑵ 審尋の期日
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出典:同上
破産手続等においても、民訴法87条の2第2項および3項、187条3項および4項と同様のルールにより、審尋につき、ウェブ会議や電話会議を利用することができるものとすることが提案されている。
⑶ 債権調査期日
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出典:同上
債権調査につき期日方式を採用した場合、現行法上、ウェブ会議を用いて債権調査期日を行うことは認められていないが、当事者の利便性を向上させる観点から、ウェブ会議を用いることが検討されている。海外の債権者等を含めより多くの債権者に期日参加の機会を与えるという観点や、コロナ禍等の要因により対面会議が開催できない状況に陥った場合でも手続を遅滞させないという観点から、同規律の導入に賛成する意見がある。
なお、民訴法87条の2第1項では、口頭弁論期日においてウェブ会議を利用する場合に当事者の意見を聴くこととなっている。倒産手続においては多数の破産債権者が関与することが想定されるところ、これらの債権者すべての意見を聴かなければならないとするとかえってウェブ会議による債権調査期日の実施を困難にするおそれがあるとの理由や、意見聴取を必要的なものとしなくとも、裁判所において個別に寄せられた意見を考慮してウェブ会議の利用の可否を判断することができる等の理由により、(注)においては、意見聴取について特段の規律を設けない旨の提案がなされている。
⑷ 債権者集会の期日[2]
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(おぎの・さとし)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。破産管財人、民事再生手続申立代理人、私的整理における債務者代理人等多数。2019年度東京弁護士会倒産法部事務局(広報担当)。
(ひぐち・まさたか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2016年早稲田大学法学部卒業。2018年弁護士登録。倒産分野、労働分野を中心に担当し、M&Aの領域や証券発行の領域の案件等も幅広く担当している。大阪弁護士会 司法委員会 倒産手続IT化運用検討プロジェクトチーム委員としても活動している。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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