SH4227 タイ:個人情報保護法のガイドラインの制定(1)中翔平(2022/12/07)

取引法務個人情報保護法

タイ:個人情報保護法のガイドラインの制定(1)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 中   翔 平

 

 2022年6月1日に完全施行されたタイの個人情報保護法(以下「個人情報保護法」という。)に関し、2022年6月20日に4つの下位規則が公表された(詳細については、拙稿の「SH4051 タイ:個人情報保護法の下位規則の制定(1) 中翔平(2022/07/07)」及び「SH4052 タイ:個人情報保護法の下位規則の制定(2) 中翔平(2022/07/08)」を参照されたい。)。2022年9月7日に個人情報保護委員会より新たにデータ主体の同意取得に関するガイドライン(以下「同意取得ガイドライン」という。)及びデータ主体に対する利用目的の通知に関するガイドライン(以下「通知ガイドライン」といい、同意取得ガイドラインと併せて、総称して「本ガイドライン」という。)が公表された。

 本ガイドラインは、データ主体の同意取得・データ主体に対する利用目的の通知に関して、具体例を挙げながらより詳細な要件・指針を定めている。本ガイドラインの内容は多岐に亘るため、本稿では実務上の関心が高いと考えられる事項に絞って取り上げる。

 

1 本ガイドラインの位置付け

 個人情報保護委員会は、個人情報保護法第16条第3号その他の関連する規定に従い、個人情報の保護等のためにデータ管理者が遵守すべきガイドラインを策定する権限を付与されている。本ガイドラインは、かかる権限に基づき発布されたものである。本ガイドラインそれ自体は法的拘束力を有するものではないため、本ガイドライン違反を直接の根拠として個人情報保護法に定める刑事上・行政上の制裁が課されることはない。もっとも、本ガイドラインの多くの規定は、個人情報保護法に定めるデータ主体の同意取得・データ主体に対する利用目的の通知に関する規定をより詳細に説明するものであるため、本ガイドラインの内容はこれらの個人情報保護法の規定の解釈指針として参照される可能性がある。そのため、本ガイドラインそれ自体には法的拘束力はないものの、個人情報保護法を遵守する上で、本ガイドラインの内容を把握しておくことには意義があると考えられる。

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(なか・しょうへい)

2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、 金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月 にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所 バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサ ポートを中心に幅広く法律業務に従事している。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

 

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