ベトナム:不動産事業法改正草案(中)
ー外資企業にはより高い障壁か?ー
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 井 上 皓 子
2 既存の不動産の販売・賃貸・購入賃貸
現行法と同様、改正草案も、不動産取引を行う者に対し、土地利用目的の遵守や建設許可の取得等を義務付けているが、これに加え、以下のような複数の条件が追加されている。特に、建物の一部を販売・譲渡する場合の条件が新たに創設されていることが注目に値する。
① 建築法上使用が認められたことを証する書類があること
② 住宅・建物については、土地利用権証書等は不要だが、国に対する土地に関する金銭的義務(例えば土地税の納付、賃料の支払い等)を履行していること
③ 建物の一部を対象とした取引の場合の新たな要件として、販売・賃貸の対象となる部分が、その他の部分から独立した特定の機能を有し、そのことが事業計画・設計文書等で明示されていること等
また、改正草案で新たに不動産事業法の対象となったコンドテルについての取引条件も明記された。
3 将来形成不動産の販売・賃貸・購入賃貸
現行法では、既存の住宅・建物に加え、建設途中で完了検査を受けていない住宅・建物(「将来形成不動産」と呼ばれる)も取引の対象とすることを認めている。将来形成不動産について、改正草案で導入された注目すべき規定は以下のとおりである。
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(いのうえ・あきこ)
2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院修了。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2018~2020年、長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス勤務。日本にお
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