◇SH1545◇ベトナム:労働者の採用手続と報告義務(現地法人の場合) 澤山啓伍(2017/12/13)

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ベトナム:労働者の採用手続と報告義務(現地法人の場合)

長島・大野・常松法律事務所

 

弁護士 澤 山 啓 伍

 

 ベトナムにおける人材採用活動については、日本と同様に、人材紹介会社を利用したり、求人サイトに広告を掲載したり、自社のWebsiteで募集したり、工業団地の掲示板に求人情報を掲示したり、口コミで募集したり、といった様々な方法が比較的自由に行われており、それが特に問題になったという話は聞かない。ただ、法律上は採用活動を行うに当たって必要とされている手続きがいくつか定められているため、ご留意いただく必要がある。以下では、現地法人による採用活動の手順について、概説する。

 労働法第11条では、雇用者が、直接、又は職業紹介組織若しくは労働派遣企業を通じて労働者を採用することができることを明確に規定している。これを受けて、政令03/2014/ND-CP号(以下「政令03号」という。)第6条及び第7条は、労働者を採用する場合の採用手続について次の通り規定している(なお、政令03号の一部英訳では、本条項は、工業団地等で勤務する労働者を採用する場合にのみ適用されるかのように読める英文になっている。しかし、ベトナム語原文を見ると、その理解は不正確で、ベトナム人労働者を雇用する者全体にこれが適用されることは明確である。)。

 まず、雇用者が応募者から応募書類を受領する少なくとも5営業前までに、雇用者は、自ら又は職業紹介組織若しくは労働派遣企業を通じて、求人情報を公開しなければならない(政令03号第7条1項)。公開の方法は、採用を行う本社、支店若しくは駐在員事務所の所在地にその情報を掲示する方法の他、マスメディアを利用した公開も可能とされている(通達23/2014/TT-BLDTBXH号(以下「通達23号」といいます。)第5条)。求人情報には、次の情報が含まれる必要がある(政令03号第7条2項)。

  1.  •  役職、職務内容、専門レベル、採用人数
     
  2.  •  労働契約の種類
     
  3.  •  給与
     
  4.  •  各役職に関する勤務条件

 次に、雇用者、職業紹介組織又は労働派遣企業は、応募者から応募書類を受領した場合には、その書類を管理し、応募者に対して採用手続の日程を通知する義務を負う(同条3項)。採用手続の結果が出てから5営業日以内に、雇用者、職業紹介組織又は労働派遣企業は、採用手続の結果を公開しなければならない。なお、雇用者は、不合格又は採用面接に欠席した応募者から、採否結果が出てから3ヶ月以内に要請があった場合には、要請から5営業日以内に、その者の応募書類を返却しなければならないことになっている(同条5項、通達23号第5条3項)。

 

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