SH4459 ベトナム:個人データ保護に関する政令(上) 中川幹久(2023/05/29)

取引法務個人情報保護法

ベトナム:個人データ保護に関する政令(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 中 川 幹 久

 

はじめに

 個人データ保護に関する政令第13/2023/ND-CP号(以下「政令13号」)が2023年4月17日に成立し、7月1日に施行される。ベトナムではこれまで個人情報の保護について包括的に規定した法令はなかった。2021年2月に公表された同政令の草案には、例えば個人データの越境移転について管轄当局の書面による事前の同意が要求されるなど実務に多大な影響を与えることが懸念される内容も複数盛り込まれ、最終的に成立する法令の内容に強い関心が集まっていた。総じて言えば、政令13号では、草案段階においてパブリックコメント等で多くの懸念が表明されていた内容について一定の配慮がなされたものもある一方、少なくとも条文を文言解釈する限り、幅広い日系企業が様々な対応を取ることを求められ、かかる対応の具体的な内容については不明確さが残るものも多いため企業としては対応に苦慮することが予想される。今後当局が発する情報等を注視しつつ、7月1日の施行に向け対応の中身について検討を進める必要がある。本稿では、実務的に関心が高いと思われる点を中心に政令13号の概要を紹介する。

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(なかがわ・もとひさ)

長島・大野・常松法律事務所ホーチミンオフィス代表。1999年慶応義塾大学法学部法律学科卒業。2003年第一東京弁護士会登録。2009年 Stanford Law School(LL.M.)卒業。2009年~2010年Pillsbury Winthrop Shaw Pittman LLP(ニューヨーク)勤務。2011年11月から約2年半、アレンズ法律事務所ホーチミンオフィスに出向。ベトナム赴任前は、M&Aその他の企 業間取引を中心とした企業法務全般にわたるリーガルサービスを提供し、現在は、ベトナム及びその周辺国への日本企業の進出及び事業展開に関する支援を行っている。

 

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