インドネシア:個人情報保護法に関するインドネシア憲法裁判所判決
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 中 村 洸 介
はじめに
昨年10月17日、インドネシアで初の包括的な個人情報保護法が制定されたが(概要は「SH4197 インドネシア:個人情報保護法の制定(1)――個人データの定義、適用対象」以下参照)、その制定後1か月も経たないうちに、同法がインドネシア憲法に違反すると主張する憲法訴訟が2件申し立てられた。
あくまでも両事案ともインドネシア人個人が提起したもので、主に審査対象となった規定も必ずしも企業活動に直接関連するものではないが、本年4月、憲法裁判所の合憲判決がなされたため、本稿で紹介する。
なお、インドネシアでは日本の裁判制度と異なり、最高裁判所とは別に憲法問題を取り扱う憲法裁判所が設置されており、法令の憲法違反に関する審査は憲法裁判所に対して直接申立てがなされる。また、憲法訴訟には審級制度はなく、憲法裁判所の一審限りで判決が確定する。
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(なかむら・こうすけ)
2011年早稲田大学大学院法務研究科修了。2012年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2019年Columbia Law School卒業(LL.M.)。
2012年に長島・大野・常松法律事務所に入所し、M&A案件を中心に国内外の企業法務全般に従事。ジャカルタ・デスク勤務(2019年10月~2020年)を経て、現在はシンガポール・オフィスに所属し、インドネシアをはじめ東南アジアへの日本企業の事業進出や資本投資、その他現地での企業活動全般についてアドバイスを行っている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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