タイ:個人データの消去・破棄・匿名化の基準に関する
下位規則の制定(上)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 中 翔 平
1 本下位規則の概要
2024年8月13日に個人データの消去・破棄・匿名化の基準に関する下位規則(「本下位規則」)が制定された。本下位規則は、同年11月11日に施行された。
タイの個人情報保護法(「PDPA」)上、次の4つの場合には、データ主体は、データ管理者に対して個人データを消去、破棄又は匿名化(「消去等」)することを請求できる。
- ① 個人データの利用等がその目的に照らして必要でなくなった場合
- ② 個人データの収集等の同意を撤回した場合(収集等を継続する法的根拠がある場合を除く)
- ③ 個人データの収集等について異議を唱える権利を行使した場合(拒絶事由に該当する場合を除く)
- ④ 個人データが違法に収集等されている場合
本下位規則は、データ主体から、個人データの消去等を請求されたときに、データ管理者が、個人データを消去等するための手続・方法を規定したものである。特に、本下位規則には、後述のとおり、個人データを匿名化する際にとるべき措置の手順が規定されており、データ主体から個人データの匿名化を請求された場合のみならず、自ら、個人データを匿名化して利活用(いわゆるビッグデータとして利活用)することを検討する際にも参照する価値があると考えられる。そのため本稿では、個人データの匿名化に関する基準を中心に本下位規則の概要を紹介する。
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(なか・しょうへい)
2013年に長島・大野・常松法律事務所に入所。プロジェクトファイナンス、不動産取引、金融レギュレーション及び個人情報保護の分野を中心に国内外の案件に従事。2020年5月にUniversity of California, Los Angeles School of Lawを卒業後、2020年12月より当事務所バンコク・オフィスに勤務。現在は、主に、在タイ日系企業の一般企業法務及びM&Aのサポートを中心に幅広く法律業務に従事している。
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