Legal Operationsの実践(16)
――Legal Risk ManagementとLegal Operationsの交錯――
Airbnb Japan株式会社
渡 部 友一郎
1 本稿の狙い
本稿は、Legal OperationsとLegal Risk Management(以下「リーガルリスクマネジメント」という。)の関係を実務的に考察することを目的とする。具体的には、冒頭、わが国におけるリーガルリスクマネジメントの枠組みの必要性を明らかにした上で、2020年に発行された世界初のリーガルリスクマネジメントの国際規格であるISO 31022:2020とLegal Operationsとの交錯を探る。
結論を先取りすれば、法務機能を経営/ビジネスの視点から捉え直し、経営/ビジネスの世界では標準的なアプローチを法務に適用するというLegal Operationsの本質は、リーガルリスクマネジメントにおいて規定される汎用的な枠組み(プロセス)と共通する部分がある。また、両者の目的にも共通する点がある。すなわち、クライアントに対して、効果的に法務サービスを提供することを可能ならしめるツールまたは概念という点が重なり合うと考える。
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(わたなべ・ゆういちろう)
鳥取県鳥取市出身。2008年東京大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。現在、米国サンフランシスコに本社を有するAirbnb(エアビーアンドビー)のLead Counsel、日本法務本部長。米国トムソン・ロイター・グループが主催する「ALB Japan Law Award」にて、2018年から2022年まで、5年連続受賞。デジタル臨時行政調査会作業部会「法制事務のデジタル化検討チーム」構成員、経済産業省「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」法務機能強化実装WG委員など。著書に『攻めの法務 成長を叶える リーガルリスクマネジメントの教科書』(日本加除出版、2023)など。