Legal Operationsの実践(3)
――Business Intelligence――
積水化学工業株式会社
能 勢 明
1 はじめに
本連載第3回となる本稿では、Legal OperationsのCore 12(詳細は第2回)の一つであるBusiness Intelligence(以下「BI」という。)について、BIの概要、データ収集・蓄積の重要性と筆者の経験に基づく事例紹介を行う。
なお、本稿の内容は筆者の所属組織を代表するものではなく、筆者個人の意見や解釈に基づくものであり、本稿から生じる責はすべて筆者に帰する。
2 BIとは
本稿においてBIは企業の法務部門におけるデータ活用と定義する。
CLOCは、法務部門がBIを発展させることにより、経験ではなく戦略的なデータ活用によって望ましい状態に到達することができ、隠れたトレンドを見出し、効率性を把握し、明確で計測可能な結果の追求に集中し、事業に違いをもたらすことができる、としている[1]。日本にも、KKD(勘・経験・度胸)からデータ駆動型(データドリブン)の意思決定へというスローガンがあるが、それとも通ずるものであろう。
CLOC JapanでもBIについて複数回にわたり議論が行われ、弁護士報酬、ワークロード、依頼管理、時間管理、業務管理、人事評価、価値評価、リスク評価、契約等の多岐にわたる分野におけるさまざまなデータ活用の可能性についての議論が交わされた。
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(のせ・あきら)
積水化学工業株式会社・高機能プラスチックスカンパニー・法務担当課長。ニューヨーク州弁護士。電機メーカーの半導体・電子部品部門にて法務や事業開発を経験した後、積水化学でコーポレート法務、米国地域統括会社を経て現職。技術経営修士(専門職)のプロジェクトレポートにて「日本企業へのリーガル・オペレーションズ適用可能性及び便益と課題」を研究。