Legal Operationsの実践(10)
――Project / Program Management――
EY弁護士法人
弁護士 前 田 絵 理
はじめに
本連載第10回目となる本稿では、Corporate Legal Operations Consortium(以下「CLOC」という。)のCore 12(詳細は本連載第2回を参照)のうち、 Project / Program Managementについて、その概観を述べるとともに、筆者の経験に基づく勘所を紹介する。
なお、本稿は筆者が属する組織の見解を述べるものではなく、筆者個人の見解を記載するものである。
1 Project / Program Managementとは
まず、Project ManagementとProgram Managementとの違いは、Project Managementは個々のProjectを管理することであり、一方でProgram Managementは複数のProjectを並行管理することである[1]。本稿では、Project Managementを中心に説明する。
- * PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、米国のPMI(Project Management Institute)が、Project Managementに関するノウハウや手法を”A Guide to the Project Management Body of Knowledge”というガイドブックで体系立ててまとめたものであり、2021年の第7版が最新版
Project Managementとは、「方法、ツール、手法及びコンピテンシーを、あるプロジェクトに適用すること」(ISO21500:2012)や「プロジェクトの要求事項を満たすために、知識、スキル、ツールと技法をプロジェクト活動へ適用すること。意図した成果をあげるためにプロジェクトの作業を導くこと」(PMBOK第7版[2])と定義されている。
そして、プロジェクトは以下の5つの段階に分けられるとされている(PMBOK第6版[3]「5つのプロセス群」)。
5つの段階 | |
立ち上げ | プロジェクトの企画段階。プロジェクトの目的や達成目標、ステークホルダー、投資対効果などを明確化し、プロジェクトのスポンサーとなってもらいたい者からプロジェクト開始の承諾を得る。 |
計画 | プロジェクトの目標達成に向けて企画内容を具体的に練り、目標達成のために必要なアクションを特定する。 |
実行 | 計画段階で特定したアクションを実行する。 |
監視 | プロジェクトの進捗やパフォーマンスを管理・監視する。必要に応じて計画を変更する。 |
終結 | プロジェクトを正式に完了し、プロジェクトのアウトプットを定常業務へ移管する。 |
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(まえだ・えり)
EY弁護士法人 ディレクター 日本国・米国NY州弁護士・経営学修士(MBA)・公認不正検査士
2022年1月にEY弁護士法人に加入し、法務機能コンサルティング及びリーガル・マネージド・サービスに従事。EY弁護士法人への加入前は、2007年より西村あさひ法律事務所に勤務後、2011年より旭化成株式会社にて企業内弁護士として勤務。 同社にて法務部門のほか、経営企画部門、買収先米国企業の法務部門、インド子会社の役員を経験。その後ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の法務部門を経て、2021年7月から12月までEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社にてLead Legal Counsel。併せて11年以上の民間企業勤務経験を有する。2014年~16年、2018年~現在日本組織内弁護士協会(JILA)理事。