SH4388 Legal Operationsの実践(17)――LegalTechの導入-成功するプロジェクトの進め方 丸山修平(2023/04/03)

法務組織運営、法務業界

Legal Operationsの実践(17)
――LegalTechの導入-成功するプロジェクトの進め方――

東京海上日動火災保険株式会社 IT企画部

弁護士・システム監査技術者 丸 山 修 平

 

  • Legal Operationsの実践(23)――最終回――連載の終わりにあたって(座談会)(上)
  • Legal Operationsの実践(24)――最終回――連載の終わりにあたって(座談会)(下)

 

1 はじめに

 本稿では、LegalTechの導入を実際に進めるうえで重要・有益な視点やツールを紹介する。

 筆者はLegalTech導入を導入企業の内/外からサポートしてきた経験を有しているが、かつては“Legal Operation”の語もなく、ましてそのCoreの理論的な分類なども存在すら知らなかった。ただ、筆者は、現在もこれらの視点・ツールを使い、案件や状況に合わせて改善を続けている。その意味で、本稿で紹介する視点・ツールは、現場で生まれ、育ち、さらに理論面からの裏付けも得つつ発展してきたものといえる。一方で、本稿は、実際に導入を主導したりサポートする方向けの実際的・実践的な内容となっているため、理論的な部分については過去の本連載[1]を適宜参照いただきたい。

 さて、LegalTechの導入は、いわば一種の「プロジェクト」であり、すでに確立された社内手続や手順があるような「個別案件への対応業務」(その最たる例は契約書レビューである)とは大きく性質が異なる[2]。これまでこのような個別案件への対応のみに携わられてきた方ほど苦戦されているのではないだろうか。

 ただ、今後、裁判手続きのIT化への対応や、各種業務の電子化[3]に伴い、LegalTechをはじめとしたITシステムの導入(他部署でのシステム導入のサポートを含む)は、法務担当者の業務として、あるいは顧問先へ提供するサービスの一部として、まだまだ増え続けると予測される。

 その意味で、本稿の内容は、目の前のLegalTechの導入の一助となるだけでなく、今後の業務にも幅広く対応するためのものとしたつもりである。ただ、紙面の関係上、最も重要なもののみを厳選しての紹介となるがご容赦いただきたい。また、企画系業務のご経験がある方にとってはあまりに当然の視点やツールであって今更の事項もあろうし、また筆者がLegalTech導入の観点から一般的なものから外れた使い方を紹介している点もあるが、ご容赦いただければ幸いである。

この記事はフリー会員の方もご覧になれます


(まるやま・しゅうへい)

弁護士(第一東京弁護士会所属)。組織内弁護士委員会(副委員長)、総合法律研究所・IT法研究会所属。
デジタルコマース、新規事業の支援や、システム開発・運用案件などのIT法務のほか、リーガルオペレーションを専門とする。
著作に『法務の技法OJT編』(中央経済社、2017)[共著]、『法務担当者のための契約実務ハンドブック』(商事法務、2019)[共著]、『即実践!!電子契約』(日本加除出版、2020)[編著]、『シン・経済安保』(日経BP、2022)[編著]など。

 
タイトルとURLをコピーしました